Tom’s PCparts Blog With Other Games

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HDR対応でさらなる飛躍を遂げたフリーの老舗録画配信ソフト「OBS Studio 28.0」でHDR配信をしてみた

みなさまこんにちは。TOM1192です。

今回は先日公開されたBeta版で一気に機能が追加され、拡張した「OBS Studio」をご紹介します。

詳細な紹介自体は多分よそさんが強いのでこちらでは主にBeta版で追加された要素について語る形となります。

 

github.com

DLはこちらから。記載時はBeta1ですが、現在はリリースプレビュー段階です。

諸機能が改善されているのかもしれません。

 

9/13 追記

正式版になってます。

obsproject.com

 

 

1.大きな変更点

今回公開されたBeta版は、以前のバージョンから大きく機能拡張がなされています。

ざっくり説明すると、

  1. HEVC(H.265)およびAV1コーデック使用によるエンコードが可能に
  2. 10bit出力(HDR)による録画・配信が可能に
  3. 解像度が4Kまで使用可能に
  4. アプリケーションの音声だけを切り取る機能の実装

といったところでしょう。

特に1~3は今まで一切実装されていなかった機能であり、当方含め長らく実装が待たれていたと思われる機能であると思います。

 

2.「新機能」の使い方

さて、追加された新機能を使っていきましょう。

 

2-1 新たなるコーデック

今回追加されたのは、ハードウェアによるHEVCエンコードです。

H.265とも呼ばれる規格で、それまで使用可能だったH.264もといAVCよりも圧縮率が高くよりきれいにという代物となっています。

また、H.265は最大8Kまでの解像度に対応しており、エンコードに関しては依然として4Kまでとなっていますが、デコードは8Kまで行えたりします。

さて、そんなことはさておき、実際に使うためには設定項目の変更が必要です。

今回はNVidiaのHWエンコであるNVEncを使用します。

OBSの設定にある出力タブにある、

エンコーダの項目を「NVIDIA NVENC HEVC(new)」へと変更します。

コレでHEVCによるハードウェアエンコができるようになります。

今回のアプデはAMDGPUによるエンコードも改善されているそう。実際に確認できる環境を持ってないので、こちらに関しては未チェックである点は予めご了承ください。

 

2-2 HDR配信・録画

今回のアプデはHDR配信および録画にも対応しました。

HEVCに対応してくれないことにはそもそもHDRが使えないというお話だったので、ようやくといったところです。

使用するためには、前述の出力タブにある、

プロファイルを「main10」にすること(これにより10bit出力が許可される)と、詳細設定タブにある、

カラーフォーマットを「P010(10ビット,4:2:0,planes)」に、色空間を「Rec.2100(PQ)」にして初めてHDR出力が可能になります。

もちろんゲームがHDR対応でないなら、詳細設定側を変える必要はありません。

 

2-3 4K解像度への変更 

HEVCに対応したので、より高解像度でも負担を少なくしながら録画・配信が可能になりました。とはいえ、HEVCで録画・配信が可能な既存のソフトである「Action!」と比べると負荷はかなり高めです。

解像度の変更は映像タブにある、

基本解像度および出力解像度を「3840x2160」に変更するだけです。

もちろんWQHD(2560x1440)にも対応したので、高解像度ユーザーはニッコリです。

 

2-4 アプリケーションの音声の切り取り

今回のアプデでMODで実装されていた(らしい)、アプリケーションの音声の切り取り機能が実装されました。俗に言う逆輸入ってヤツですね。

この機能は、バックグラウンドで音楽とかを再生していても、ゲーム部分だけの音声を切り取り、配信や録画に音として乗せないという芸当が可能になります。

地味に便利で、Action!にも実装されている機能です。

こちらは、OBSのソース追加から選びます。

赤枠で囲った「アプリケーションの音声キャプチャ(ベータ)」で行えます。

Windowで音声の切り取りを行いたいアプリケーションを設定すれば完了です。

なお、デフォルトのままでは、既定の音声出力はオンになりっぱなしなので、「デスクトップ音声」はしっかりとミュートないし無効化しておきましょう。

 

3.実際にやった結果

youtu.be

 

見ての通りわかりますが、実用性はちょっと足りてません。

プリセットがLow-Latencyだったからなのかもしれませんが、爆発エフェクトが激しい場面などではラグが発生していました。

エンコード時の使用率はだいたい6割~8割程度。

Actionに近い使用率(だいたい2割)に合わせれば改善されるかもしれません。

HDR判定が入ったのと、白飛びがなくなったのは高評価です。

何はともあれ有料ソフトなしでもHDR配信ができるようになったのは素直に喜んでいいと思います。

 

4.補足事項

4-1 HEVCエンコの注意点

tomspcparts.hatenablog.com

ここにもあるんですが、HEVCのエンコードを行えるGPUはGTX900番台以上で、それに加えてHDR配信となるとGTX1000番台以上が必要です。

また、AMDの場合はRDNA(RX5000番台)以上が必要だと思われます。

 

4-2 ゲームキャプチャーの不具合

ゲームキャプチャーを使用する場合、HDRの色がバグる現象があります。

おそらくクロマサンプリングが悪さしてるので、こういう場合はウインドウキャプチャを選ぶと解消するようです。

10bit以外では発生していないという現象でもあるので、HDR以外では問題になることはまれでしょう。

 

4-2 エンコ負荷軽減について(2022.8.20追記分)

現状、プレイしながらの4K配信はLow-Latency performanceが限界です。

また、プレビュー画面がえらく重いので、実配信時は切っておくと多少マシになります(マジで多少なので効果てきめんとまではいえません)

youtu.be

最初期よりもドロップ量が少なくなってはいるので、これ以上の軽量化はおそらく望めないあるいは、最適化待ちということになるかと思います。

まあ、ドロップ量をものともしない超強力なGPUを用意するのもアリなのかもしれませんが、ウチの相棒のRTX3090をもってして無理な状況なので、次期RTX4000番台が登場するのを待つこととします。

サブGPUを用意するのもアリかもしれませんが、こちらは対応GPUを所持していないので当面延期ということで…

 

4-3 RC版での改善がみられたかどうか(2022.8.21追記分)

youtu.be

まあこんなこと言うのもなんですが、シングルGPUではまだ無理っぽそうです。

特段ドロップ量が減ったわけでもないので、プログラム的な問題だと思います。

せめて3Dの負担だけでも減ればなぁ…といったところでしょう。