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2万円以下で買える、究極のエンコ特化グラボ「Intel ARC A380」を試す

皆様こんにちは。TOM1192です。

今回は一風変わって低価格ながらもその強みを最前面に押し出す変なグラボこと「Intel ARC A380」についてです。

今回買ったのはコレになります。

kakaku.com

 

 

 

1.はじめに

今回使うグラボは先ほどのブツですが、そもそもIntel ARCというのは2022年末ごろから発売を始めたIntel謹製のdGPUで、買ったモノはその中でも下から2番目のグレードのA380となります。

特徴は

といったところになります。

で、今回の一番オススメポイントはなんといっても最後のAV1コーデックによるHWエンコードが可能というところです。

 

2.ゲーム性能について

価格が2万円以下という時点でお察しではありますが、同一価格帯にいるRX6400と違い、VRAMが2GB多い6GBを搭載しているほか、Intel謹製の高解像度技術であるXeSSにも対応しているため、対応ゲームでは思った以上の体感速度が出せます。

私がよく遊んでいる惑星WTことWarthunderも数少ない対応ゲームであり、グラフィックの設定項目にDLSSと並んでXeSSの項目が用意されています。

 

とはいえ、全体的にFHD前後が限界であり、WQHD以上はまず期待しないほうがいいでしょう。

 

接続はPCIe4.0x8。このあたりはPCIe4.0対応になってから増えてきたいつものパターンではありますが、できればちゃんと8レーン接続にしてあげたいところです。

もっとも用途によっては3.0x1程度でも全然問題ありません。

 

3.サイズについて

このグラボはロープロファイル(以下LP)に対応した非常にコンパクトなグラボです。

RTX4060のLP対応版もありますが、

ASUSのRTX4060LP。LPであるものの3連ファンで長い

まあ見ての通りPCIe x16よりも外側に伸びるため、コンパクトではあるものの使うケースによっては当然収容違反を起こします。

件のA380。デュアルファンなのでPCIeスロットの端程度の全長

一方で今回のソレは見ての通り非常にコンパクトに収まっています。

なお、スロット厚は2スロ相当なのでだいたいの環境には入りますが、さすがに窮屈すぎるケースには入りません。

後述の消費電力などの観点含めてDellやHP、Lenovoなど法人向けPCに搭載するのに向いたグラボといえるでしょう。

 

4.画面出力・消費電力について

画面出力は左からHDMI2.0b x1 MiniDP x2


画面出力はHDMI2.0bとMiniDPx2なので最大で3画面出力が可能なほか、DPでは8K60pを2枚出せるようになっています。

変換を用意する必要があるものの、1スロットの範囲内に3画面分の出力があるのは素晴らしい限りです。

同一価格帯のRX6400では2画面まで、GTX1630も3画面ではあるもののLP対応品だと1本がDPでないなど機能面では勝っています。

また、消費電力は最大43WとPCIeスロット直接給電の上限である75Wを大きく下回っているため稼働に際する不安はありません。

 

おま環かは不明なものの、所有しているA770含めモニターの相性がやや悪い傾向がみられるため、使用するモニターでちゃんと動作確認したうえで運用の途につくのがいいかと思われます。

 

5.エンコード・デコード機能について

Intel ARCでは発売されているすべてのモデルでAVC(H.264)・HEVC(H.265)・VP9・AV1コーデックによるハードウェアエンコード・デコードに対応しています。

これはAMDにおけるRX7600以上とNVIDIAにおけるRTX4060以上が持つ機能を最底辺グレードから使用可能という他社にない圧倒的アドバンテージがあるほか、Intel自身が長年積み上げたQSVのクオリティも相まってその価格やスペックに見合わないトンデモ性能を発揮します。

また、AVCやHEVCではCPUに内蔵されたGPUを併用して実行するIntel DeepLinkが使用可能となっています。が、今回の環境ではあまり振るわなかったのか正直やる価値はあんまりありませんでした。

もっともコレはiGPUが足りてないのか、dGPUの負荷状況によって変動する幅がのか諸々の可能性が考えられるため、今のところはというのが正解かもしれません。

iGPUでのエンコードのようす。iGPUにしちゃかなり早い

dGPUでのエンコードのようす。1.3倍くらいの速度しかも品質も上。

DeepLinkによるエンコード。iGPUより遅いが品質は一応iGPU単体よりは上。

ちなみに、AV1エンコードに関してはHEVCとほぼ同じ速度でできるのにもかかわらずHEVCよりも品質が高くなるというオマケ付きです。

もうこれどうなってんだよ…

 

なお、先ほどのDeepLinkに関してはこんな感じで並列稼働します。

DeepLink動作の状態。iGPUとdGPUが並列で動作しているのがわかる。

iGPUとdGPUの並列稼働しか試していませんが、dGPUとdGPUの並列稼働もワンチャンあるかもしれません(仕様には書いていないので証明もできませんが)。

まあそのためにはまずdGPUを2枚積む必要があるので今の検証機の場合ライザーケーブルを用意する必要があるんですが…

 

後日どうにかA770とA380を混載して検証を行った結果、まあ当然っちゃ当然ですがDeepLinkは機能しませんでしたとさ…

次の世代でiGPUがAV1エンコに対応したときに真価を発揮する可能性がありそうです。

 

ちなみに、リアルタイムエンコはやや不得手です。

FHD〜WQHDの負担ならなんなくこなせるっぽいですが、4Kの場合は何かが悪さをしているのか肝心のゲームのfpsが下がるという事象に陥りました。

まあそもそも配信だとAV1使えないんでもうちょっと最適化待ちですかね…

A770単体だとフレームレートが落ちなかったので純粋なパワーも足りない説もありますが、A380でも負荷率が50%前後であったところを加味するとなんかおかしいの一言です。

 

6.総評

さらに下にA310の存在がいるため、より低コストという条件ならそっちになるものの、2万円以下で高解像度3画面出力ができてVRAMも6GBと案外多く、ハードウェアによるエンコード・デコードも完璧でそれでいてLP対応、おまけに補助電源も不要と実は見た目によらず至れり尽くせりのグラボです。

 

ゲーミング性能はLPのサイズによる制約とNVIDIAAMDほどでない成熟度の低さにより輝ける場面は少ないものの、削りに削った最底辺シリーズよりは必要十分なスペックは持ち合わせているため、使えないというほどでもありません。

 

最初からRTX4080などを保有する方々にはあんまり用事のないタイプのグラボではありますが、あとからエンコ用や画面追加用として追加するというのであればほぼ間違いなくA310とA380はその中で最優先に出してもいい筆頭候補となりうります。

kakaku.com

ちなみに、A310のほうは1スロットに完全に収まる設計のためスペースが許されない状況ならこちらを選びましょう。ただし、1スロットに収めたということは冷却面でかなり無理をするという意味でもあるので、ややうるさくなるという代償を支払う必要がある点はご注意ください。

 

過去にGT730で配信をする記事を作りましたが、

tomspcparts.hatenablog.com

配信用途で追加するならそんなヘンテコ品よりも間違いなくこっちのほうがいいです。

ってなわけで今回はここまで。

ゲーミング性能の云々は気が向いたら追記します。

 

次回はこの記事の中にも出てきたシリーズ最上位のA770の検証記事になるかなぁと思います。