皆様こんにちは。TOM1192です。
今回はいつぞやに買った、NUCくんに追加装備を取り付けて、ゲーミングPCへと変貌させたおはなしです。
↑NUCについてはこちらから。
eGPU的な使い方の究極の答えはこちらから↓
1.eGPUとは?
まず、紹介に入る前に説明をば。
eGPUは端的に言えば外付けで別のGPUを取り付けることにより、内蔵GPUしかないPCのグラフィック性能を引き上げる代物です。
接続は、独自の規格のものとThunderBolt3や4によって行われます。
-eGPUのメリット-
- 手軽に性能強化ができる
- GPUという熱源を外部に置くことができる。
- 不必要時は使わないという選択肢ができる。
- TB3(やUSB4)さえ搭載しているPCならeGPUだけを流用することができる。
-eGPUのデメリット-
- 接続には対応した規格のものが必要。
- 接続帯域が狭く、用途によっては最大性能が出ない。
- 電源が2つになるため、配線がめんどう
と一長一短なわけですね。
2.eGPUを実際にするにさしあたって
さて、今回購入したのは
このeGPUボックスです。
なお、この商品は箱だけなので、別途GPUが必要です。
で、相方となるGPUは、
玄人志向さんのRTX2070です。
もともと、自作8号機に搭載されてたGPUですが、マザーがご昇天なさったのでこの機会にeGPUとして活用しようとしたわけですね。
ちなみに、接続状態はこういった感じになります。
ネタとして、ウチで活躍中のノートPCにもTB3がついてるので接続するとカオスになります。
このノートPCには、もともと内蔵GPUに加えて、RX Vega M GHという特殊なGPUが搭載されており、さらにeGPUで増設した感じです。
コレにより、ノートPCでありながら、GPU3社が揃うという奇妙な光景が完成します。
3.接続の仕方
PCとの接続には2種類あり、それぞれメリットデメリットがあります。
実際に運用したい方は理解して使うといいでしょう。
3-1 eGPUは処理専門で、出力はPCの出力
いわゆる、eGPUを追加の処理装置として設置するパターンです。
-メリット-
- モニターへの出力を変更せずに処理性能を向上できる。
- 非使用時はeGPUが停止するので低消費電力。
- iGPUが画面出力担当なのでiGPUを活用したエンコード・デコードが行える。
-デメリット-
- G-syncやFreeSyncといったVRR技術が使えない(HDMI2.1は例外)。
- TB3、iGPU経由となるので絶対性能は低下する。
- VRHMDなど、dGPU前提の製品が使用できない。
といったところです。
iGPUを活用しながらdGPUを使う用途に向いており、今回はこちらを採用しています。
特にTigerLake以降はiGPUの強化で、AV1のデコードを単独で行えるようになっているため、性能低下のデメリットを大きく上回ると判断してこの配置を採用しました。
3-2 eGPUをdGPUとして使う
dGPUの接続にPCIeではなくTB3を用いるだけで、実質デスクトップPCと同じ接続方式です。
メリットとデメリットは前述と逆転するだけですが、
-メリット-
- G-syncやFreeSyncといったVRR技術が使える(HDMI2.1も含む)。
- 経路がGPUのみとなるので性能低下が少ない。
- VRMHDなど専用機器も使える。
-デメリット-
- シングルディスプレイの場合、iGPUを使えない。
- 同条件下にて、ケーブルの差し替えを行う必要がある。
- 未使用時もdGPUが稼働し続けてしまう。
マルチディスプレイ以外ではメリットよりもデメリットが大きくなるのが特徴ですが、性能を優先する場合はコレ以外の選択がなく、非常に悩ましいところです。
素直に、小さいディスプレイを用意してあげてマルチディスプレイとして使うほうがいいのかもしれませんね。
なお、この方式をシングルディスプレイで採用する際は、予めTB3でeGPUに接続しておいた状態での起動を行う必要があります。
あと、なぜかKP41を吐くことが多く(おま環の可能性大)、絶対の安定は保証できません。
※2022/1/9追記
ココにある通り、NUCでは高パフォーマンスの電源プランを作成できず、TB3への電力供給を突然断つためにフリーズを起こすようです。
このため、手順に従ってPowershellで高パフォーマンスの電源プランを作成し、ソレを適用する作業を行った結果、フリーズが発生しなくなりました。
コマンドは
①高パフォーマンスの電源プランの作成
powercfg -duplicatescheme 8c5e7fda-e8bf-4a96-9a85-a6e23a8c635c
②作成した高パフォーマンスの電源プランを適用
powercfg -setactive 8c5e7fda-e8bf-4a96-9a85-a6e23a8c635c
の2工程と非常にシンプルなものの、効果は絶大でした。
っていうかIntelさんなんで電源プラン作れないんですかね…
4.ざっくりベンチ
さて、eGPUの有無でどれだけ性能が変化するのか検証しました。
4-1 3D Mark FireStrike
定番のDirectX11のベンチマークです。
まずはiGPUのみから。
スコアは3554で、他サイトとかで見る感じではGT1030(GDDR5)とだいたい同じくらいだそうです。
GT1030と違い、DDR4なのでスコアが低下してしまうのは致し方ないとはいえ、Intelの内蔵GPUとしては最高峰の性能をもっていることがわかります。
ベンチ実行時は、パワーリミットで制限がかかったのか、CPUのクロックが低下している点にも注目していただいた上で、次はeGPUでのスコアです。
スコアは13612と約4倍で大きくスコアを伸ばしています。
また、iGPUを使わないためにCPUクロックが落ち込まずテスト全体で安定して4GHz台を維持しています。
本来のRTX2070のスコアが22000程度らしく、絶対性能が約半分となってしまっていますが、40Gbpsの帯域しかないTB3では上等すぎる性能が出ています。
後に、dGPU直結パターンでもやりましたが、スコアの伸びがほとんどなかったので、どうもこれはCPUがボトルネックとなっているようです。
4コア8スレッドでは限界値が近いようです。
4-2 3D Mark TimeSpy
こちらはDirectX12APIのベンチマーク(内部はDirectX11ベース)です。
先にiGPUから
まあ、想定していたとおりただ重かったです。
こちらでもクロックの低下が確認できますね。
ただ、GT1030は1000前後らしくどんぐりの背比べとはいえ、こちらが勝っているようです。
次がeGPUでのスコアです。
スコアは6842とこちらでも約4倍となりました。
また、こちらでもCPUクロックの低下が発生しておらず、eGPUはCPUの限界性能の発揮にも寄与していますね。
前述のFireStrike同様、本来のGPUスコアよりは低いので、CPUが足を引っ張っているのは間違いないでしょう。
4-3 FF14 暁月の終焉(フィナーレ)ベンチマーク
FPSが上がるとCPUベンチになる特徴を併せ持つベンチマークです。
まずはiGPUから。
まあお察しです。
比較条件をそろえるために最高品質としていますが、設定を落としていくと
高品質(ノートPC)では約1.4倍になり、
標準品質(ノートPC)では約1.8倍となります。
ただ、これでも重いっちゃ重い(最低値が18fpsとガクガク)ので、内蔵GPUでやるゲームではないですね。
できるくらいの認識程度がよさげです。
続いて、eGPUを使ったものが、
はい、スコアが約4.5倍となりました。
全体的なフレームレートの向上が大きく(平均96fps・最低47fps)、よっぽどでない限りは十分実用的にこなせてしまうという結果です。
ここでもCPUの多少のボトルネックは考えられますが、4C8Tとしては十分すぎるスコアが出ていると思われます。
4-4 World of Tanks EnCore
カジュアル戦車ゲーこと、WOTの公式ベンチマークです。
現在のWOTには入っていない技術も一部入っていますが、今回はその機能を無効にしているので実質WOTと同一条件ですね。
まずはiGPUから。
スコアは4675でした。まずまずといえるでしょう。
もともとWOTは3D系ゲームの中では比較的軽量なほうではありますが、それはあくまで最低設定のお話で、最高設定ではかなりの負担がかかります。
それでもこのスコアが出ているのでiGPUとしては非常に上出来です。
続いてeGPUですが、
4倍どころか約4.7倍と大幅増加しました。
eGPUの真骨頂ともいえるスコアです。期待以上の戦績が出てますね。
もう言うことはありません。
5.まとめ
今回導入したeGPUですが、はっきり言って想像以上の感覚でした。
もともとのiGPUの性能の高さもさることながらではありますが、eGPUでここまで強化できるのはお手軽かつ財布の追加ダメージを抑えられるという点でもアリアリな選択肢といえます。
ただ、eGPUを導入するくらいなら、素直にNUC11 Extreme Kitを導入するほうが同じ筐体サイズでPCIe直結にできます(え、予算が高すぎるって?)。
複数台のPCに対して、1台のGPUを使うという用途でも使えるほか、Radeonを選んで搭載すればIntel版のMacとWindowsで共用できたりするので、ある意味非常に面白い使い方もできます。
昨今のGPUの値段上昇のヤバみがひどいですが、内蔵GPUでお茶を濁す使い方をする方々にもうれしい代物かもしれません。
余ったGPUを転用する使い方としては個人的にベストだと思ったところで今回はここまで。
久々の長々と書いた記事となりました。
次回は未定ですがまたお会いしましょう。