Tom’s PCparts Blog With Other Games

主に自作PCと惑星WTのネタをぶち込むブログ

仮設鯖で10Gbpsを試してみた件

皆様こんにちは。TOM1192です。

今回は、いつぞやに作った仮設鯖で10Gbpsリンクでかっ飛ばすとどうなるのかを知りたくなり、急遽実行に移した件です。

 

tomspcparts.hatenablog.com

実際に作ったのはちょうど1年前(執筆時点)ですね。

ハードウェアの構造はそのままに、NICIntelからAquantiaのAQC-107に変更しました。

 

なお、この実装の前に、

www.oliospec.com

コイツを導入したことにより、ローカル環境がALL10Gbps化が可能になっています。

 

1.設定

以前、TrueNASにAQC-107を導入した際は、ドライバが当たらなかったのでそのまま放置してたわけなんですが、今回再び導入するとドライバが当たってるらしく、すんなり動作しました。

TrueNAS12.0-U7では素の状態で使用可能になっているようです。

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リンクもしっかりと10Gbpsで認識されています。

 

2.実効帯域の測定

実際に検証に移りましょう。

2-1 測定環境について

測定するのに使用したものは、

①鯖側

上述のとおり、AQC-107の10Gbpsリンクです。

なお、マネージドスイッチの10Gbpsポートのうち一番右側の12番ポートに接続しています。

また、1年前と違ってRAMが倍増(16GB→32GB)となっています。

②クライアント側

クライアント側にはメイン機(Ryzen 9 3900X+RTX3090)を用います。

使用するNICIntelのX550-T2で、2つある10Gbpsポートすべてが10Gbpsリンクで動作し、かつマネージドスイッチとNIC側それぞれがLAGによる動的リンクアグリゲーションを確立しており、20Gbps接続となっています。

マネージドスイッチの使用ポートは鯖の隣2つの10・11番ポートに接続しています。

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PC側の状態。リンクアグリゲーションにより20Gbps接続になっている。


3.実測

3-1 iperf3

TrueNASにはiperf3が同梱されています。

使用の際にはTrueNASの設定画面にあるシェルから、「iperf3 -s -d」で起動できます。

多分-dはいらないとは思いますが、念の為入れてます。

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クライアント側にはiperf3の実行ファイルをDLして実行する形になりますが、こちらはCUIソフトなため、予めバッチファイルを作るかコマンドプロンプトで叩くかのいずれかとなります。

↓DLはこちらから。

iperf.fr

 

サーバー側とは違い、クライアント側のオプション設定が多いので確認して実行するといいでしょう。

 

当方で実行したのは「iperf3.exe -c (鯖のIPアドレス) -b 0 -P (並列実行数)」ですね。

実際には「iperf3.exe -c 192.168.3.15 -b0 -P10」と書いています。

で、結果はといいますと…

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約9.7Gbpsというほぼ10Gbpsな戦績が出ました。

ローカルではまずお目にかかれない数字なだけあってか、最初は変な声が出ました。

 

3-2 Crystal Disk Mark

TrueNASのSMB機能を使ってファイル鯖として使うことでCDMを実行できます。

なお、この際はWindows側では「ネットワーク ドライブの割り当て」でSMB鯖にドライブレターをつけておいてください。

で、実際に実行した結果が、

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こちらになります。

鯖側のAQC-107がTrueNASとの相性が悪いのかシーケンシャルのQ1T1がとんでもなくヒドイ結果になっています。

ただ、どうもNICがこの手の処理が苦手なようで、スレッド数を12にすると、

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全体的にスコアアップが確認できました。

なお、AQC-107のほうのオフロード処理(NICが通信を捌く)を無効化すると、ほんの少し解消します。

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が、諸性能が下がるのでオススメしません(オマケにCPUの酷使率も上がるのでTrueNAS的にもよくない)。

 

結局のところ、IntelのX540とかのほうが安牌なのは変わりません。

 

3-3 実際のファイル書き込みと読み込み

CDMは最初に書き込んだデータを使う関係で、書き込みはともかく読み込みはRAMから読むので速度が出ます。

実際はどうなるのかというと…

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1.書き込み開始直後。速度は500MB/sくらい

初回は使ってるSSHDSSD領域に書き込む関係でかなりの速度が出ますが、

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2.速度が低下。SSD領域(8GB)を超過したためHDDの素の速度へ

途中からは普通のHDDの挙動になります。

ある意味貴重なSSHDの動作確認かもしれませんね。

で、読み込みはというと…

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はい、HDDです。ただ、1Gbpsの上限は突破してるので、価値が無いわけではありませんが、劇的な効果があるわけではないです。

HDDやSSDを複数運用するRAIDを組む場合はその限りではありませんが、仮設鯖程度のレベルでは2.5Gbps鯖ですら事足りてしまうのもまた事実でしょう。

4.まとめ

10Gbpsをサクッと運用した使用感としては、

  • 速いときは速い
  • 初期投資金額は重め(NIC x2とハブが必要なため)
  • HDD1台ではまだ未知数な要素アリ

といったところですね。

SATASSDでRAID6でも組めば変わりそうな感もあるので、今後はこちらの建造を検討していきたいところですね。

で、残念なことを言うと、たぶん自作鯖のメリットはあんまりないです。

悩んだらQNAPなどのNASキットを買うほうが幸せになれます。

性能モリモリ、NICもこだわりたいという方やHDDをとにかくガンガン積むみたいな使い方、HDD鯖部分とSSD鯖部分を共存させたい方など、強いこだわりがある場合は、十分な選択肢となりうるかもしれません。

 

2.5GbpsのNICとハブが安くなりつつあるので、ローカルの強化を目指すのであれば2.5Gbps化するほうが財布のコスト的にも、費用対効果的にも有効かと思われます。

 

というわけで今回はここまで。

来年初頭にX540を買って検証したいと思います。