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自作PCにおけるよく使うかもしれない語録05(SSD編)

皆様こんにちは。TOM1192です。

今回はSSD編。はじまります。

 

tomspcparts.hatenablog.com

 目次です。他の語録はこちらからどうぞ。

 

 

1.SSDとは

SSDはSolidStateDriveの略称で、次回解説予定のHDDと違い、回転体が一切存在しない固体の記憶装置のことを指します。

SSDもHDDもメモリの名称である主記憶装置とともに使用される記憶装置ということで、別途補助記憶装置とも呼ばれます。が、どうせここで説明しても使うことはないので詳しくはご自身で調べてみるほうがいいかもしれません。

 

2.SSDのメリットとデメリット

HDDとは構造が大きく異なるSSDですが、メリットとデメリットを書くと

2-1 SSDのメリット

2-1-1 とにかく速い

現在のHDDの最大速度は220MB/sくらいが限界ですが、SSDは最低でも倍の500MB/sの製品がほとんどで、最速はなんと7000MB/s(30倍以上)という圧倒的速度を持ちます。

また、ランダムなデータアクセスにも強く、HDDは回転体とヘッドの位置でデータを読み書きをする以上タイムラグが大きくなりますが、SSDには前述の通り回転体やヘッドが存在しないため、タイムラグの少ない高速アクセスが可能となっています。

 

2-1-2 コンパクト

普及初期のSSDは2.5インチ(ノートPC等に採用される薄型規格)が主でしたが、2013年にはMSATA*1や、2015年にはM.2(後述)がそれぞれ普及し、サイズは非常にコンパクトになっています。

このため、物理的に小さいPCにも採用できるというメリットがあり、昨今ではSATAバイスを一切搭載しないゼロSATAという構成も可能になっています。

 

2-1-3 衝撃に強い

HDDは内部に回転体を内蔵している以上、衝撃でHDDそのものが損傷する可能性がありますが、SSDには回転体は存在しないので、堅牢な構造になります。

このため持ち運びにも活用でき、最近ではUSBメモリとほぼ同じサイズのSSDまで発売され、非常に取り回しがいいです。

amzn.to

 

2-2 SSDのデメリット

2-2-1 容量単価の高さ

全部半導体で構成されるSSDは、普及初期にくらべて下がったものの、依然として容量単価*2はHDDと比較するとまだまだ高いです。

商品によってはだいたい10倍近い容量単価の商品もあり、大容量(2TB以上)を選ぼうならばかなりの出費を強要されてしまいます。

 

2-2-2 発熱が多い

HDDも回転体のモーター基部等から発熱しますが、SSD半導体全部から発熱するのでサイズの割には高温になります。特に制御ユニット付近の温度が非常に高く、場合によっては80℃近くまで達することもあり、熱管理には注意が必要です。

 

といったところでしょうか。

 

3.SSDの用途

SSDの用途として以下のものが挙げられます(あくまで1例です)。

  • OS用の起動ドライブ
  • 動画編集などの一時保存用
  • ゲームのデータ用

それぞれアクセス速度の速さが活きることが多い用途です。

 

4.SSDの通信規格

4-1 SATA

HDDでも使われる旧来から存在するSSDです。

 4-1-1 SATA2.5インチ

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SATA2.5インチSSD。歴史が一番長いSSDでもある。

SSDといえばまずはコレ。

サイズが大きいことや転送速度が頭打ちしているという欠点がありますが、容量単価はSSDの中でも最安クラス。

ノートPCの延命など多彩な用途に使われています。

倉庫用SSDとしても最適解なSSDです。

 4-1-2 M.2 SATA(M.2 B&M-Key)

 M.2スロットで使うタイプのSATAです。正式にはM.2 B&M-Keyという形になりますが、わかりにくいので便宜上M.2 SATAと呼称しています。

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写真下側がM.2 M-Keyに加えてもう一つ切り欠きが増えたM.2 B&M-Key。赤枠が違うところ

 

通信速度が頭打ちしている点は変わりませんが、2.5インチSSDと比較するとサイズ面が非常にコンパクトになっているため、サブSSDとしても非常に便利なSSDです。

また、価格も2.5インチSSDと大きくは変わらないため、ドライブレスPCなどとも相性がいいです。

後述するNVMeと比較すると、発熱が抑えられており取り回しがよくなっています。

 

4-1-3 M-SATA

最後に紹介するのが、M-SATASSDです。

登場は2013年くらいですが、後継のM.2が登場したのが2015年と実はたったの2年間くらいしか表舞台に立たなかったSSDです。

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M-SATASSD。M.2のご先祖ともいえるSSD

現在では、旧来のUltraBook(コンパクトノートPC系)のSSDに採用されているくらいで、めったに見かけません。

一方で販売が継続されているのは、そういったユーザー層のために残しているのかもしれません。

形状は、MiniPCIeというノートPC等で使われる、WiFi用カードなどに使われたものと同一です。

このため、M.2以上に勘違いされることの多いSSDでもありました。

4-2 NVMe

NVMeは、SSD専用として開発された規格で、SATAで使われるAHCI*3の後継規格として開発されました。

最大の特徴はすべての通信をPCIeで行うというところで、これによりSATAの欠点だった最大通信速度のボトルネックが大きく改善されました。

一方でその代償で発熱が大きくなり、マザーボードヒートシンクが搭載されるようになったものもコレが原因です。

4-2-1 M.2 M-Key

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赤枠の部分の切り欠きの位置がM.2 M-Key

NVMeのSSDに使われる代表的なのがM.2 M-Keyです。

特徴としてはPCIe x4の転送速度を発揮し、昨今では最大7000MB/s*4の読み込み速度を発揮できるものがあります。

M.2の中で最も主流の方式です。

 

4-2-2 M.2 B&M-Key

SATAの項でも登場していますが、NVMeとしても使えます。

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M.2 B&M-KeyのNVMeSSD(上)。M.2SATAのSSD(下)との見た目上の差異は見られない。

 NVMeとして使用した場合は最大PCIe x2レーン分とM.2 M-Keyのみより遅くなってしまします。

一方で価格面はSATASSDとまではいきませんが比較的安いものが多く、手軽に導入できるという点では、こちらのほうが有利です。

 

4-2-3 U.2

特殊事例なSSDにのみ使われます。基本的に使うことはないと思っていただいて大丈夫です。

というのもマザーボードにもほとんどの事例で搭載されないほど特殊な代物なのです。

用途はサーバーやエンタープライズすなわちもっぱら企業向けです。

このため、こちらでは詳しい説明は割愛させていただきます。

なお、形状はなんと2.5インチ。先祖返りしてるのが特徴的です。

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U.2SSD。2.5インチ版NVMeといったところ。

 

5.SSDの記録方式

SSDは時代を追うごとに記録方式が変化していきました。事例が特殊なものも含めて説明します。

5-1 SLC

SLCとは、Single Level Cellの略称で、SSDの記録セル内に0or1の1ビットの情報のみを読み書きする方式です。

SSDの黎明期でよく採用されていた方式で、現在ではほぼ0な記録方式ですが、有名所ではSamsungがZ-NANDという形で残っています。

 

記録セル内に保存する情報が少ないため、耐久性が高いのがメリットですが、1セルあたりの記録量に劣るため、大容量化を目指そうとするとコストがグンと跳ね上がる特徴があります。

また、セルあたりの情報が少ないおかげでランダムアクセスにもめっぽう強く、SSDとしては最強格ともいえる代物です。

www.oliospec.com

ちなみに、現在残っているSLCであるZ-NANDですが、価格が後述の3D-Xpointと同じかそれ以上というシロモノになっています。

はっきり言って明確な目的なしで買うのはおすすめはしません。

5-2 MLC(2bit-MLC)

MLCはMulti Level Cellの略称ではありますが、狭義の意味ではSLCと違って1セルあたりに2ビット*5を記録することで容量の拡大と価格低下を目的として開発された記録方式です。

後述するTLCやQLCが登場する前の名残で、現在でもこちらの意味で使われることが多いです。

現在ではSLC同様ほぼ0な記録方式です。SLCより耐久面で劣りますが、大容量化と低価格化を推し進めることには成功しています。また、SLCと同様で高速での連続書き込み時に速度低下が起きない方式(後述)でもあります。

 

5-3 TLC(3bit-MLC)

MLCから更に増えて、1セルあたりに3ビット*6を記録可能にした方式です。

2021年現在においては主流の方式で、初期に開発されたプレーナ型TLC(通称:2D-TLC-NAND)と積層TLC(通称:3D-TLC-NAND)の2種類があり、後者がほとんどの事例で採用されています。

耐久性は更に低下しましたが、前述の3D-TLC以降はMLCとまではいかないものの耐久性の向上を果たしています。

この記事内に登場する写真のSSDのほとんどが3D-TLCSSDです。

ただ、NVMeにおいては連続書き込みがある一定量を超えると速度低下を発生させるという欠点が存在し、これらを補うために容量の何%かをSLCとして活用させることで速度低下を抑え込んでいます。

ランダムアクセスも順当に下がっていますが、こちらも3D-TLC-NANDのおかげでそこそこ改善しています。

 

5-4 QLC(4bit-MLC)

TLCから更に増えて、1セルあたり4ビット*7を記録可能にしました。

これによりさらに容量単価は改善しましたが、現在においてはあんまり普及していません。

理由としては

  • ランダムアクセスの弱さと連続書き込み時の速度低下のレベルがTLC以上に激しい
  • 耐久面での不安がある。
  • そしてその容量単価の改善率がTLCと比較した際にそこまで高くない

の3つですね。特に改善率と耐久面での不安があるせいか、メーカーもあまり推しません。

コスパは悪くないんですが、上述の理由あってか私もおすすめしないです。

 

5-5 3D-Xpoint

ほぼエンタープライズ向けSSDに採用されている記録方式です。

セルに記録するSLC、MLCTLC、QLCと違い、こちらはメモリの延長線上にある記録方式です。

端的に言えば、データの消えないメインメモリといったところです。

特徴としては、SLC以上の非常に高い耐久性とランダムアクセス性能の圧倒的高さにあります。

一方で、コストはSLCの比でないほど高く、約1TBを買うのにも17万円ほど必要というトンデモな代物です(参考:1TBの3D-TLCのNVMeSSDは約1.5万円くらいから)。

www.oliospec.com

こちらにこの事例があります。実際の価格を確認していただくといかにヤバいかわかります。

 

先述のU.2同様、特定の物好き以外は買わないほうが懸命です。

なお、この3D-XpointはIntelとMicronの共同開発で完成していますが、現在ではIntelのみが発売しています。

また、こちらの記録方式を活用してHDDの高速化を図ったものが、Optaneメモリというもので、IntelCPU環境下限定ではありますが覚えておくといいかもしれません。

pc.watch.impress.co.jp

こちらの記事に使い方があります。

 

ちなみに、接続はPCIeスロット直結かU.2で行うものがほとんどです。特殊な記録方式なので致し方ないのかもしれません。

 

とりあえずここで暫定版とします(2021.2.10)

追加はしますが、もう少々お待ちくださいませ。

*1:MiniPCIe形状のSSD

*2:1TBあたり何円か

*3:Advanced Host Controller Interface

*4:PCIe4.0 x4接続時

*5:00、01、10、11の4通り

*6:000、001、010、011、100、101、110、111の8通り

*7:0000、0001、0010、0011、0100、0101、0110、0111、1000、1001、1010、1011、1100、1101、1110、1111の16通り