皆様こんにちは。TOM1192です。
今回は前回と対称の位置にあるHDDです。
目次です。他の語録はこちらからどうぞ。
1.HDDとは
HDDはHard Disk Driveの略称で、SSD同様補助記憶装置です。
プラッタと呼ばれる磁気ディスクを回転させ、ヘッドを移動させることでデータの書き換えを行っています。
写真においては、針のようなものがヘッドでプラッタは金属に見えるディスクですね。
2.HDDのメリットとデメリット
すでに前回SSDのメリットデメリットを述べている通り、基本的にその逆がHDDのメリットデメリットとなります。
箇条書きで書くと
メリット
- とにかく安い
- 大容量
- 単体の発熱量は少なめ
デメリット
- 衝撃に弱い
- 多少なりとも動作音がある
- アクセス速度が遅い(特にランダムアクセス面が)
といった感じでしょうか。
安価に揃えられるのがHDDのメリットですので、倉庫用などランダムなアクセスがない環境であれば速度の遅さはある程度回避できます。
OS側の最適化もあってある程度改善はされているものの、物理的構造は当初から現在まで変わっていないのでこれらのデメリットは解消することはありません。
3.HDDの記録方式
現在HDDの記録方式としては2種類存在します。ここ数年で新しい記録方式も登場する予定ですが、まだ製品化には至っていません。
2-1 CMR
HDDの登場から現在まで牽引し続けた記録方式です。Conventional Magnetic Recordingの略称で、直訳すると従来の磁気記録方式となります。
後述するSMRの登場でこちらに名前がついたともいえます。
原理はシンプル。プラッタにそのままデータの読み書きを行う方式です。
後述するSMRと違い、データをかぶらせて記録しないため欠損が少なく、アクセス速度も速くなる傾向がありますが、大容量化に限界が来ているため中に入っているプラッタの1枚あたりの最大容量は2TBとなっています。
データが消えることを嫌うサーバーに一番向いており、指名買いする人も多いです。
が、型番だけで判断ができないこともあるため事前の情報収集は必須です。
2-2 SMR
近年登場した新しい記録方式で、データを一部かぶらせて記録することで大容量化を可能にした方式です。
なお、このかぶらせる構造から通称「瓦」とも呼ばれます。
主に低価格化が進行した主原因であり、4TBが8000円台で購入可能になったのもこれのおかげとも言えます。
↑HDD格安化の権化。当方も使用開始から2年以上経過してますが、ノンエラーです。
一方で、単純な書き込み読み込みでは問題が生じないものの、データの削除から再書き込みといった負荷にはめっぽう弱く、従来のCMRよりも大きく劣る点です。
大容量化の代償とはいえ、データの移動が多い用途(サーバーや一時データ)には向いていないのは事実。
完全に倉庫用と割り切って使用しましょう。
4.HDDのサイズ
HDDには、主に3.5インチと2.5インチがあります。
3.5インチはデスクトップ向けの大きなHDDで、外付けのHDDなどにも使われることが多く、大容量(4TB以上)はもれなくコレになります。
2.5インチは主にノートパソコン向けでよく採用されており、コンパクトですがその代わり3.5インチよりも容量単価が悪化しており、最大容量の4TBに至っては倍近い価格になっています。
5.HDDの回転数
HDDは磁気ディスクを回転させて記録を行う構造のため、回転数というものがあります。
単位はRPM(Rotations Per Minute)で表され、この数字が大きくなるほど性能が高くなるというものですが、同時にモーター側の発熱も上昇したり消費電力が増加したりと全部が全部いいことづく目ではありません。
現在の主な回転数は、低消費電力と性能のバランスがいい5400RPMと性能重視の7200RPMです。
見た目上の差はありませんので、仕様表を確認するといいでしょう。
なお、余談ですがかつては10000RPMとかいうぶっ飛んだHDDがありました。
こちらは、外観サイズこそ3.5インチですが、2.5インチHDDに放熱用ケースを加えて3.5インチにしています。当時としては性能はトップクラスのHDDでしたが、現在は当時の性能が5400RPMで実現してしまっているためか、後継モデルはいません。
5.HDDの接続規格
主にというか現在ではSATAのみです。
かつてはIDEというSATAの前身となる規格もありましたが、今はいません。
サーバー向けまで幅を広げるとSAS(Serial Attached SCSi)というものもいますが、コレに関しては一番最後に余談レベルで書いておきます。
6.HDDのメーカー
HDDは現在3社が製造を行っています。
6-1 Western Digital(WD)
現在最大手のHDDメーカーです。
日本国内のSandiskとHGST(日立グローバルストレージテクノロジーズ)を買収した会社でもあり、その技術は折り紙付きです。
ちなみに、HGSTのブランドは消失していますが、現在でも生産自体は行われており、WD社で「UltraStar」という形で存続しています。
ブランドは
の6つです。
前述のCMRとSMRの違いについては、型番だけでは判断できないことが多く、同社のリストをもってして説明すると、
- WD Redシリーズで型番の最後にEFAXとつくもの(2TB~6TB)
- WD Blueシリーズの3.5インチで型番の最後にEZAZとつくもの(2TBと6TB)
- WD Blueシリーズの2.5インチで型番の最後にSPZXとつくもの(1TBと2TB)
- WD Blackシリーズの2.5インチで型番の最後にPSXとつくもの(500GBと1TB)
がSMRを採用しているそうです。
詳細はこちらのリンクのほうにあります。
6-2 Seagate
日本国内ではノートPCによく搭載されていることが多いHDDメーカーです。
旧来では安かろう悪かろうという悪評が目立っていますが、現在ではそこまで悪くないと個人的には思っています。
ブランドは
の5つです。
先述のCMRとSMRについては公式側から発表されていますので確認しておくといいでしょう。
なお、Barracudaについてはほぼ問答無用でSMRが採用されています。
SSHDは、SSDをキャッシュとして使うHDDで、SSDの高速応答性とHDDの大容量をうまくまとめ上げたものですが、容量単価が中途半端になってしまい、現在売れているのかは不明です。
当方はそのユーザーだったわけでありますが、案外面白いシロモノでありました。が、おすすめはあえてしません。単に高速HDDとして使う分にはいいかもしれませんね。
6-3 東芝
唯一残る国内メーカーです。
が、あんまり押しが強くないせいか、知ってる人だけが買うイメージが強いです。
ブランドは
- 標準ユーザー向けのPC
- NAS向けのMN
- 監視カメラ向けのSurveillance
の3つです。
一応他に2つあるのですが、個人向けどころか市場に出回らないタイプなので説明はしません。
特徴としては軒並み7200RPM製品がほとんどなことで、SMR製品は3.5インチの5400RPM品と2.5インチのMQ04シリーズのみと非常に少ないです。
逆に言えば、CMRで7200RPM製品が主力なので、速度面は強いです。
地味に覚えておくといいでしょう。
7.余談(SASについて)
さて、最後になりますがHDDの接続規格のうちの一つとしてSASがあります。
コレは、SATAと下位互換性をもたせたSCSI(スカジーと読みます)で基本的にサーバー向けに使われることがほとんどです。
しかし、サーバー向けに採用されるだけあってか、HDDとは思えないぶっ飛んだ仕様なのが特徴で、なんと15000RPMとかいう狂気の沙汰と言えるシロモノまで存在します。
その分容量が少ないという欠点がありますが、もとよりそこが問題ではない用途に使われるので、気にされていないようです。
↑15000RPMのHDD。誰か買ってほしい。
さて今回はここまで。
次回は電源編を予定しています。