皆様こんにちは。TOM1192です。
今回は前回に続きまして、GPU編です。
目次です。他の語録はこちらからどうぞ。
こちらも現在のPCには必須なアイテムなので解説していきますよ。
1.GPUとは
GPUはGraphics Processing Unitの略称で、約すると映像処理装置となります。
端的に言えば画面表示や画像・映像処理に特化した処理装置です。
最初に紹介したCPUと違い、特化しているため汎用性には劣りますが、その分野では圧倒的な性能をもった処理装置です。
2.GPUの会社は?
GPUのコア部分を担当するのは、現在Nvidia社とAMD社です。
Nvidia社はGeforceシリーズを、AMD社はRXシリーズを製造しています。
2社ともリファレンス仕様のGPUを製造していますが、あくまでそちらはリファレンスなだけで、GPUに関してはベンダーと呼ばれる、各メーカーにコア部分だけを供給し、ソレ以外をベンダーに自由に設計させています。
ベンダーの大体はNvidiaもAMDも並行して生産してるんですが、AMD専売でリファレンスも全部請け負っている、Sapphireという会社みたいなものもいます。
3.GPUでの汎用処理
前述の通り、GPUは本来特化するがゆえに他の処理はできないんですが、単純作業ならCPUより圧倒的に多いコアを活用できるようになりました。
これがGPGPU(General Purpose GPU=GPUによる汎用処理)と呼ばれるものです。
用途としては、ハードウェアデコード*1・エンコード*2などCPUが行っていたものをGPUで代わりに行うといった感じです。
4.GPUで出る用語
語録集の始まりです。
4-1 GPUコア数
NvidiaはCUDAコア数、AMDではCU数と呼びますが、端的に言えばこの数字が大きくなるほど性能は向上します。
ただ、CPUと同様でコア数が増えれば増えるほど消費電力も増えるのでとにかく多ければいいというわけでもありません。
昨今ではプロセスルールCPUと同等レベルまで進行しているため、進化がめざましいものでもあります。
4-2 コアクロック・メモリクロック
GPUには処理を担当するGPUコアとそのデータを保持するためのメモリ(通称:VRAM)というものがセットになっています。
GPUコアの動作クロックをコアクロック、メモリの動作クロックをメモリクロックと呼びます。
特にメモリクロックはDDR4を遥かに凌駕するクロック数の高さが特徴で、昨今では約10GHzという圧倒的高さを持っています。
コアクロックについては、Nvidiaでは最大で2.1GHz止まりですが、AMDでは最近2.7GHz動作が可能なGPUが登場しています。
今後はもしかすると高クロック化がより進むのかも知れません。
4-3 メモリの規格
GPUに使われるメモリには3種類あります。
4-3-1 DDR系列
PCのメモリにも使われるDDR系のメモリです。
低価格帯(10000円以下)のGPUで採用されることがあり、後述するGDDR系よりも安いのが特徴ですが、メモリクロックが低いので性能には期待できません。
あくまで画面表示と割り切る分には悪くはないのですが…
4-3-2 GDDR系列
最新はGDDR6Xで、先述の10GHz達成はこちらのメモリになります。
DDR系より速いのが特徴で、昨今は技術の向上により大容量化が進んでいます。
中堅~ハイエンドまで存在するまさにGPUのスタンダードといえるメモリです。
4-3-3 HBM系列
HBMとは、「High Bandwidth Memory」の略称で、名前の通り広帯域メモリと訳されます。
特徴は、GDDR系列を遥かに凌ぐバス幅の広さで、現在のGDDR系列では384bitが限界なのに対し、HBMは最低でも1024bitという約3倍の広さをもちます。
あくまで最低と述べたのはコレを複数搭載すればバス幅もその数だけ増えるためです。
例を上げると、RadeonVIIというGPUはHBMを4機搭載しているのでバス幅も4倍の4096bitとなります。
一方でGDDR系と比較した際に価格が非常に高いという欠点があり、採用されているのもごく一部という悲しみを背負っています。
4-4 補助電源
GPUには消費電力がありますが、マザーボード編にもあったように、75Wまではスロットから供給できるのですが、ソレ以上は別途電源ユニットから直接電力を融通してもらうことで、75W以上の消費電力のGPUを運用可能にしています。
補助電源は6ピンと8ピンが存在し、使用する消費電力に合わせてそれを複数搭載することで多大な消費電力に耐える設計となっています。
補助電源コネクタは6ピンと8ピンの2種類があり、規格上正式に存在するのは、
- 補助電源6ピンx1(最大消費電力75W+75W=150Wまで)
- 補助電源6ピンx2(最大消費電力75W+75W+75W=225Wまで)
- 補助電源6ピンx1+8ピンx1(最大消費電力75W+150W+75W=300Wまで)
の3種類のみです。
一応引き算すれば6ピンで75W、8ピンで150Wとなりますが、引き算しただけ2ピンだけで75Wも供給できるという意味ではなく、実際の8ピンは135W、6ピンも15W増しの90W程度まで上限を広げることで達成しているものかと思われます。
さて、規格上という表記のあたりで察しが付く人もいますが、8ピンは単独では絶対に使われておらず、写真のアレも正規ではないということです。
ともあれ、補助電源を規格以上に搭載している理由は、単純に消費電力がべらぼうに高い製品もしくは、補助電源あたりの負担を軽減するために搭載しているものが大多数となります。
8ピンx1というGPUが存在する理由は、消費電力が150Wを超えるが実装点数を減らすためにより電力の供給できる8ピンx1を採用することでコスト低下を図る、といった理由で使われているものかと思われます。
4-5 TDP
CPU編にも登場しましたが、Thermal Design Powerの略で熱設計電力の意味です。
CPUと違い、GPUのTDPはほぼ消費電力と同じになるようになっており、それにあわせてGPUクーラーも設計されているというわけですね。
4-6 GPUクーラー
GPUにはCPU同様、冷却してあげることが必須です。
CPUと違ってサードパーティ製GPUクーラーはほとんど存在せず、ベンダーが独自で設計したGPUクーラーとセットで発売されています。
今回はその方式ごとに説明しますね。
4-6-1 外排気式
通称ブロワー型とも言われるGPUクーラーです。
リファレンスクーラー(GPUメーカーが設計したGPUクーラー)とも呼ばれることが多いです。
メリット・デメリットは
・メリット
- 熱々の空気をケースの外へ直接吐き出すため内部に熱がこもらない。
- わりかしコンパクトなことが多い。
- 後述する水冷用と相性が良いことが多い。
・デメリット
- 冷却性能が低いので、GPUが高温になりがち。
- 送気性能も低く、ファンがうるさい。
- 上記の理由から、寿命の消耗が激しい。
といったものがあります。
RTX2000番台以降はリファレンスクーラーも後述する内排気型になり、最近では絶滅危惧種になりつつあります。
※補足
寿命の消耗についての質問がありましたので補足。
GPUに限らず半導体は高温の状況が続くことはあまり推奨されません。高温すぎると強制的にシャットダウンする機能がありますが、たとえそうでなくても高温が続くと電源供給を行うユニット部分(VRM)や、GPU本体にじわじわダメージを与えます。
最初は大丈夫でも時間経過で悪化する可能性がありますので、温度管理は適切に行いましょう。
4-6-2 内排気式
ベンダーが主に採用するGPUクーラーの方式です。
メリット・デメリットは
・メリット
- リファレンスよりよく冷える。
- 静音性に優れる(商品によっては特定条件下でファンが停止するものも)
- 見た目がかっこいいものがある。
・デメリット
- リファレンスよりとにかくデカイことが多い(商品によっては1kg以上の重量に)。
- 改造は保証対象外なものがほとんど。
- 内部に熱がこもる。
といったところでしょうか。
外排気式と比べて単純な冷却性能では勝るものの、内部設計によっては外排気にも劣る可能性もあります。
また、そのサイズゆえにケースに収まらない可能性もあるという危険性もはらんでいるため、事前によく確認することが必須です。
重量も1kgを超えてくると搭載するPCIeスロットがたわむ可能性があるので、別途ステーを用意してあげる必要もあります。
4-6-3 簡易水冷式
ベンダーが主に使用しますが、事例自体が非常に少ないGPUクーラーです。
メリット・デメリットは
・メリット
- 冷却性能はトップクラス。
- 熱がこもりにくい。
- ものによっては内排気式よりもコンパクトなものもある。
・デメリット
- コストが非常に高い。
- ハイエンド帯にしかいない。
- ラジエーターを設置するためのスペースが別途必要になる。
といった感じです。
のような、改造前提の簡易水冷化キットもありますが、当然ながらGPUの分解改造は保証対象外のものがほとんどですので、気を付けて行いましょう。
なお、保証も残して改造できるGPUベンダーは、
- ZOTAC
- EVGA
の2社くらいです。
後者は日本国内では基本的に手に入らないので、改造狙いならZOTACさんのGPUを買うとよいでしょう。
4-6-4 本格水冷式
ベンダー及び改造のみでしか使用されないGPUクーラー方式です。
メリット・デメリットは
・メリット
- 簡易水冷式を大きく上回る冷却性能
- GPU部分には可動部品(モーター類)が一切ない。
- 事例によっては1スロット化(薄型化)が可能。
・デメリット
- とにかくコストが高い。
- 水路の設計が必要なうえに、水漏れによる故障の可能性がある。
- ごく一部の商品を除いて基本的に改造が必須。
といった感じでしょうか。
簡易水冷についていた、ポンプ、ラジエーターなど一式を別で用意しないといけないため、導入コストはGPUとほぼ同額の追加コストがかかります。
そのぶん冷却性能などは圧倒的なものの、手軽から一番遠い存在です。
前述の簡易水冷式同様、改造によって実装する場合はほとんどの場合で保証がなくなります。
5.フルハイトとロープロファイル
GPUにはフルハイトタイプとロープロファイルタイプがあります。
フルハイトは、いわゆる標準PCIブラケット*3に準拠したサイズのことで、中堅以上のGPUはすべてこのタイプです。
ロープロファイルは、コンパクトPCなどに採用されている、高さが低いPCIブラケットに準拠したサイズのことで、メーカー製の薄型PCとかでよく採用されています。
フルハイトに比べ、ロープロファイルは高さ上の制約ゆえに高性能化がしにくく、採用されているGPUもエントリー級がほとんどです。
そのうえ、同じGPU名でも価格面でも劣るといった具合に基本的に優位な点はコンパクトであること以外はありません。
逆に言いかえれば、コンパクトでもある程度の性能は確保できるともなります。
メーカー製PC改造でゲーミングPCを作る場合、ケース側の仕様をよく確認して購入しましょう。
なお、現在のロープロファイル最上位はGTX1650です。
6.画面出力
GPUには画面出力がついています(ごく一部の特例を除いて)。
順番に説明しますね。
6-1 Display Port(DP) ※写真における赤枠部分
PC系の中ではとりわけ搭載率の高く、複数搭載されていることが多い画面出力ポートです。
特徴は
- 高解像度、高いリフレッシュレート
- ケーブルが比較的頑丈
- 後述するHDMI、DVIと一方的ではあるが互換性がある
- 音声も並行して送れる
といったところです。
一方で、ケーブルコストが中にチップを内蔵する関係上で高くなるという欠点もあります。
ゲーミングPCにおいてはほぼ必須ともいえるものですので、搭載していることを確認しましょう。
現在、4K120Hz以上のディスプレイのほとんどはDP接続のみにて真価を発揮します。
6-2 HDMI(High Definition Multimedia Interface) ※写真におけるオレンジ枠部分
PC系よりもゲーム機やテレビで主に採用されている画面出力ポートです。
PCでもDPとほぼ同等かちょっと下くらいの確率で搭載されています。
特徴は
- 4K60Hzまで実用に耐えうる性能
- DP同様音声も並行して送れる(機能としてはこちらが先発)
- ケーブルコストが安い
- 後述するDVIとは相互互換、Dsub Mini 15ピンとは一方的ではあるが互換性がある。
といったところです。
現在は8Kにも対応した画面出力ポートですが、GPU側で使える規格が決まっているので、仕様表をよく確認しておきましょう。
6-3 USB-TypeC Alt DP(Alternative Display Port) ※写真における緑枠部分
USBのTypeCと同じ形状をしており、内部にDisplayPortの信号を通すことで、USBとしてもDisplayPortとしても使用できるという一石二鳥なポートです。
特徴は
- 仕様上はDPなのでDPでできることは全部できる
- USB機能も付随しているのでUSB端子としても機能する
- USB-TypeCのPD*4にも対応している
といったところです。
Nvidiaでは1代限りの搭載でしたが、AMDでは最新世代で逆に搭載されたという何とも言えない状態となっています。
6-4 DVI(Digital Visual Interface) ※写真における紫枠部分
HDMIよりも昔から存在する、デジタル通信で画面出力を行うポートです。
HDMIと違い、映像のみしか送れないという欠点がありますが、HDMIが普及するまではデジタル式による画質悪化があまりない、数少ない画面出力ポートでありました。
現在ではごく一部の製品を除き搭載が見送られるなど希少種になりつつあります。
6-5 Dsub mini 15ピン ※写真における青枠部分
DVIよりもさらに昔から存在する、アナログ通信で画面出力を行うポートです。
とにかく古い規格で、アナログ通信故にノイズによる画質悪化も発生する上に、著作権保護も使えない現在においては欠点だらけの画面出力ポートです。
が、逆に言えば古いディスプレイやプロジェクターには基本的にコレも採用されていることが多く、欠点だらけの割には使われる場所もそこそこある画面出力ポートです。
前述のDVI同様、ごく一部の製品を除いて搭載されることは少なく、絶滅危惧種となっています。
6-おまけ Thunder Bolt3(TB3)
AppleとIntelが共同で開発したThunderBoltというマルチメディア規格があります。
形状がUSB-TypeCとまったく同じなんですが、機能がUSB-TypeC以上に豊富になっているのが特徴です。
機能を上げると、
といったところです。
次期USB規格である、USB4で統合されることが決定しており、ThunderBoltと呼ばれることはほぼなくなるかもしれません。
現在1つのケーブルでできることがおそらく最多のケーブルコネクタといえます。
今回はここまで。
ご指摘あれば追記します。
規格の詳細については名前で検索するほうが早いかも…
次回はSSDもしくはHDD編です。
おたのしみに。