↑前回ですお先にどうぞ。
皆様こんにちは。TOM1192です。
さて今回は2011年編。
皆様もよく知っているあのCPUが登場します。
前回の最後にあった2010年末に発表され2011年に発売されたCPUとは、後におじさんを生み出すコードネーム:SandyBridgeこと第二世代Core iシリーズです。
この世代においては、メインストリーム向けにはCPU内蔵GPUが全CPUに搭載され、ノートパソコンも4コア8スレッドを普及価格帯で売ることが可能になりました。
また、素のクロックも400MHzほど向上し、上位であるCore i7 2600Kは5GHzまでOCできるほどのOC耐性があったそう。
第九世代で復活するまで最後のソルダリング(はんだ)でCPUコアとヒートスプレッダが繋がれたCPUでもあり、よく冷えるCPUでした。
先程語ったCPU内蔵GPUも強化され、QSV(Quick Sync Video)というハードウェアエンコード・デコード機能が内包されました。これにより、各種ブラウザでの動画再生や動画エンコードなどでの活躍の場を広げ、特にハードウェアデコードによる消費電力低減も図ることができるようになったのでした。
CPUチップセット間の通信も強化。前代から倍速になり、より高速な通信が可能になりました。
ソレに伴い、チップセットにSATA3.0(6Gbps)ポートが二つ搭載され、後に来るSSD時代に対応していくことになります。
チップセットは初期に登場したP67、H67。その後に登場した廉価版のH61とB65。
そして、現在もなおメインストリーム最上位チップセットとしてのZを冠したZ68が登場したのもこの世代からです。
なお、P67をもってしてPシリーズは終焉を迎えます。
メインストリーム向けのソケットはLGA1155。前代とはピンの数が1本減ってソケットの互換性はなくなりました。
同年年末には、ハイエンドデスクトップ向けのSandyBridge-Eが登場。
ソケットはLGA2011、チップセットはX79となり、この瞬間から1チップ制のチップセット構成となりました。
コア数は最大6コア。熱設計消費電力(TDP)は130Wと高かったものの、同世代のとあるCPUのせいで目立たない消費電力に落ち着いていました。
一方でAMDはというと…
この時代から暗黒期が始まります。
同年発表・発売された新CPU、FXシリーズがすべての始まりでした。
このCPUの特徴は2コアで共有するモジュールを用意した設計で、コアあたりの単純性能は前代のPhenom IIシリーズから低下するものの、より高いクロックで動作させてそれを補うという若干古めかしいアプローチをしています。
最大コア数は初の8コアへと到達。しかし、前述のとおり2コア1ユニットのCPUなので実質4コア8スレッドという悲しみを背負うことになります。
また、特異なコア構成なせいでWindowsのタスクスケジューラ上のスレッド割り振りに弊害が生じる始末。これは後に改善されますが、ソレ以上に大きな問題が発生しました。
そう、ソレは消費電力。
プロセスツールこそは45nm→32nmへと改善されていますが、クロックをガンガン上げてかっ飛ばす仕様なせいで、TDPは125Wとそれなりですが、実消費電力が300Wを超えるとかなんとか…
結局この問題は最後まで解決されず、2017年に登場するZenことRyzenシリーズ1000番台の登場を待つことになります。
ソケットはAM3+。チップセットは2チップ制で前回触れていませんでしたが、SATA3.0に標準で対応しているのが特徴です。
AMDらしく下位互換性も確保されており、Phenom IIやAthlon IIも同一ソケットで使用することができました。
単にクロックは伸びるが、実性能でSandyBridgeに劣るわ、消費電力がバカ高いという目も当てられない仕様で、コレ以降よっぽどの物好き以外はこのCPUを買わず、AMDCPUの主な売れ行きはエントリークラスへと集中することになります。
そのCPUは「APU」。飛行機とかの補助用動力として使われるほうのAPUではなく、「Accelerated Processing Unit」の略称で、いわばCPU内蔵GPU搭載型CPUです。
同社はCPUの会社ですが、GPUの会社であったATi社(任天堂ゲーム機のGPUを担当していた会社としても知られる)を買収しており、GPUのノウハウもある会社になりました。
そうして誕生したAPU。ソケットはAM3+ではなく新規ソケットのFM1を採用。
こちらはチップセットが1チップ制になったのでそういう点では先行しています。
また、USB3.0に標準で対応。SATA3.0もそうですが、このあたりの先行対応はAMDが早いのが特徴ですね。
さて、2011年は日本にとっては忘れられない東日本大震災の年。
CPUは関係ありませんが、MBメーカーであるASUS(本社:台湾)は同年発売したMB基板に
「God Bless Japan(日本に神のご加護があらんことを)」
というメッセージを記載しています。
なんとも粋のあるメッセージでしょうか。オマケにコッソリ書かれたという話だそうで同社が日本を愛していることの表れでしょう。
さて、今回はここまで。次回は2012年、Intelの独走と傲慢が加速し始めます。
オマケ
当時のコードネーム(カッコ内はプロセスツールを指す)
・Intel(すべて32nm)
SandyBridge・・・4コア8スレッド(Core i7)、4コア4スレッド(Core i5)、2コア4スレッド(Core i3)、2コア2スレッド(Pentium、Celeron)
SandyBridge-E・・・4コア8スレッド、6コア12スレッド
・AMD(すべて32nm)
Bulldozer・・・2コアx4ユニット8スレッド(FX8000シリーズ)、2コアx3ユニット6スレッド(FX6000シリーズ)、2コアx2ユニット4スレッド(FX4000シリーズ)
Llano・・・4コア4スレッド(A8、A6シリーズ)、3コア3スレッド(A6-3500のみ)、2コア2スレッド(A4シリーズ)。